原状回復工事の具体例~通常損耗と故意過失の違い~
2017年8月31日3:34 PM カテゴリー:記事
6月20日にアップしました原状回復とは?という記事をご覧いただきましたでしょうか?
原状回復工事を行う場合、通常損耗なのか、故意過失・善管注意義務違反なのかによって、工事費用の負担者が変わるとお話ししました。
では、具体的にどういった場合が【通常損耗】なのか、またどの程度で【故意過失・善管注意義務違反】と判断されるのかを簡単にご説明したいと思います☆ただし、あくまでの一例ですので、ご参考までに御覧ください?
今回は特に壁クロスを例にして、挙げていきます。
~【通常損耗(生活汚れ)】と判断される場合~
①まずは照明を設置していた場合の照明跡です(シーリングの周りがうっすら黄色いのが見ていただけますでしょうか=照明焼け)。
照明は生活必需品のため、通常損耗とみなされ、この照明焼けの修繕費用は貸主負担と判断します。
②つづいて、壁クロスの真ん中より下に全体的にうっすら茶色い汚れが見えますでしょうか。
おそらくベッドか何かを設置していた跡だと思われますが、家具を設置していたことによる汚れは通常損耗の範囲内とみなされます。
ただし、布団を敷いていて、その色がクロスに移っていた場合などは通常損耗とみなされないのでご注意ください。
③続いては画鋲跡です。
黄色いテープの斜め下に小さな穴が空いてるのが見えますでしょうか。画鋲は数か所であれば、利用していただいて問題ありません(カレンダーを貼ったりするなど)。
しかし、クロス一面に無数に画鋲跡が見受けられるような場合には、その面の貼替費用を賃借人に負担いただくようになりますので注意が必要です。
~【故意過失・善管注意義務違反】と判断される場合~
①右写真はおそらく冷蔵庫か何かを設置していたと思われますが、汚れの範囲が大きく、色が濃くクロスに移ってしまっています。
これぐらいの汚れになりますと(冷蔵庫を設置したことによる電気焼け以外)、善管注意義務違反とみなし、壁クロスの修繕(貼替)費用は賃借人負担になります。
②この黒い汚れも故意過失(または善管注意義務違反)でついてしまった汚れとなります。
一つの目安として、汚れの大きさや濃さなども判断基準となります。
続いて③の写真ですが、大きな茶色い汚れが見えますでしょうか。
【通常損耗】②の写真と比較すると、明らかに汚れがひどく、汚れの範囲も大きいのが見受けられます。
この場合もクロスの修繕費用は賃借人負担となります。
④この写真はタバコによるヤニ汚れがひどいケースです。壁クロス全体が黄ばんでいます。
真ん中より右側に四角い白い跡が見受けられますが、白い色が元々のクロスの色で、何か物を設置しており、その部分だけヤニがクロスに付着しなかったために、白く見えているのです。
タバコは通常損耗を超えると判断しますので、このクロスの修繕(貼替)費用は賃借人負担となります。
⑤続いてカビが発生して、それを放置していたためにカビが壁クロス全体に広がった場合です(これはかなりひどい例です)
カビが発生した段階でカビを拭きとらず放置したためにカビが広がったと考えられます。
この場合は善管注意義務違反として、このクロスの修繕(貼替)費用は賃借人負担となります。
ほかにもいろいろなケースが挙げられますが、今回は壁クロスについてお伝えしました。
また壁クロス以外にもシリーズ化してお伝えしていきたいと思います☆